経営危機の土産店で私が下した非効率化による単価アップ戦略
世の中は効率化(DX)を目指した店舗運営にどんどん進んでいます。
いくらDXが進んでも完全なオートメーションにはならないと思っています。
なぜなら、店舗の存在価値がないからです。店舗ビジネスは付加価値を受け取る場所になります。それ以外はオンラインショップが担うでしょう。
土産店も同様に、今後はふるさと納税で身近になったご当地の土産品をネットで購入するようになります。
友人の土産店もふるさと納税とオンラインショップが実店舗の売上を超えたと言っています。素晴らしいですよね。ただその分「店舗の役割は?」と悩んでいました。
今日は、「私達の店舗って必要あるんだっけ?」「私たちの店舗の存在意義は?」と悩んでいる店舗経営者や店舗運営・営業本部の皆様にとって店舗が持つ可能性や価値について再確認していただけたら嬉しいです。
土産店での接客販売は効率に走るとうまくいかない
早速話が逸れてしまうのですが大事な話なのでお付き合いください。
セルフ型の店舗が最近流行っていますが、このブームは長続きしないのではないかと予想しています。
しばらく生鮮系は伸びる気がしていますが、Amazonをはじめとしたオンラインショップが生鮮食品も扱い、当日配送が可能になったら生鮮自販機やセルフ型店舗は消えていくでしょう。
それこそセルフ型(自分で見て自分で選ぶ)の雑貨店や家具店で接客がなければ今後オンラインに覇権は間違いなく取られていきます。
店舗では、それこそコーディネーターの店員がいて、一緒に間取りに対しての家具配置や照明選択をするなど(日照時間・日の入り方で部屋作りは変わる)のお客様自身の知覚で商品を購入させない、ということがカギになります。付加価値がなければもはや店頭で購入する価値はないのです。
セルフ型では顧客が「これ可愛いかも」と思ったとしてもすぐに購入することはせず、インターネットで似たようや商品を探すし、インスタやピンタレストを使って配置・設置イメージを明確にしてから購入決定をするようになってきています。ときめいたからといって即決しないのが今の購買パターンの典型となっています。
AIDMAをご存知ですか?商品やサービスを購入する上での購買心理プロセスのことを指しています。
A・・・注意
I・・・興味
D・・・欲望
M・・・記憶
A・・・購入
ここのところMが希薄化していたのですが、コロナになり巣篭もりが増えてからは自宅時間を充実させるためにコーディネイト重視の部屋作りが台頭しました。好きなものに囲まれるというよりは、インスタなどで映える統一感を重視した買い物行動が目立ちます。すみません・・・話が大きく逸れました。
現状多くの土産店がセルフ型の購買形式になっています。
ショーケース越しの接客販売スタイルのデパ地下店舗でも同様にお客様がショーケースを覗き込んでは「いかがですか?」「何かお探しですか?」というテッパンの嫌がられるお声かけしかできていないところが多いです。これでは売れるものも売れません。
いかに注目させ、興味を持たせて購買に持ち込むのか?を顧客ストレス(売り込まれる・しつこく迫ってくるストレス)のない状態で実現していくことが今後のショーケース型の土産店では欠かせないセールスデザインです。
自社商品のみのショーケース販売もあれば、色んな企業のお土産を置いている店舗もありますよね。まさに、空港の土産店はこの形態をとっている店舗が多いです。今日はこの形態の事例です。(ようやくです、お待たせいたしました。)
客単価を上げる”接客できるお客様とできないお客様の見極め”がカギ
すべてのお客様の客単価を上げるのは現状のリソースでは難しいです。
例えば、手書きのPOPを貼りつけたり、店内の空港限定の商品を山積みにしたりとできれば別ですが、規制もあり思ったような展開ができませんでした。
そこで考えたのが「接客による客単価アップ」です。
書くのは簡単ですが、実践はとても難しいです。
なぜなら、ほとんどのスタッフが接客販売を自らするという経験がなかったからです。
これでは数人に声かけをして断られたらもうやらなくなってしまうだろうな・・・と嫌な予感が頭をよぎりました。無理に接客販売しろ!といったところで反発されて中にはやめてしまう人が出るだけです。
そこで考え抜いた結果、接客できる人とできない人を分類分けをして接客できる人だけに注力して成功体験を積みながら得意なお客様の幅を広げていく、という戦略に切り替えました。
では、具体的にどうやって接客できる人とできない人を分類わけするのか・・・
これは、私自身が店頭に立って「接客できた人」「できなかった人」の特徴をまとめて見出しました。
接客できる人 | 接客できない人 | |
挨拶 | 返してくれる | 返さない |
カゴ | 持っている | 持っていない |
ということがわかりました。
この二つの特徴を使って、接客販売による客単価を上げていきました。
この二つの指標(挨拶・カゴ)を高めるための仕組みづくりや教育も力を入れたことにより全店舗平均が昨年度対比で111%を記録できました。
(何をしたのかは、ぜひ当社の店舗コンサルティングサービスをご利用ください。)
この実績の裏には顧客の購買行動を分析するという取り組みがありました。
御社でも多ブランドを展開する店舗ではお客様は何を買ったらいいのかわからない状況で自分なりに商品を選びます。
ここで、
・ちょうどよかった
・喜ばれた
という印象を与えることができれば、また土産店に足を運ぶことになった時に来店してくれるはずです。一手間をかけることで購買に導いてリピーターを獲得することが大切です。
成田直人