昨対比700%超えの売場作り(エビデンスあり)

昨年度対比700%を叩き出した業務用扇風機売場

2017年夏の事例なのですが、今でも印象に残っている事例なので本サイトでも紹介します。この事例は、昨年度対比700%超えたこの年で最も売上が伸びた商品群です。(年商300億のホームセンターです)

商品を売るという視点を大型店舗は持つべきである

大型店舗は基本的に接客をせずに、セルフで商品を購入できるように整理整頓の展示をしています。
もちろんこの販売手法が古臭い!と言いたいのではなく、売る発想を持つべきであると私は店舗コンサルティングの現場に出ていつも実感しています。一般的にセルフ型の店舗は商品を陳列して終わりです。私から言わせれば「商品を置いている」だけです。商品を売るという発想ではなく置くだけです。これではお客様に商品の魅力が伝わりにくいです。結果お客様が欲しいと思っている商品や必要性の高い日用品が目に入ればカゴに入れて購入をする程度の売上に止まってしまいます。欲しい商品を買うに留まるというのは今後の店舗経営においてはリスクでしかありません。

なぜなら、Amazonや楽天をはじめとするオンラインショッピングが送料無料・低価格で勝負を挑んでくるからです。店舗に足を運んで商品を見て必要があればカゴに入れる、というのはAmazonでポチポチするのと同じです。購買の主導権が顧客にあるためデフレ下ではどうしても客単価が落ち利益率も下がります。創意工夫をせずに店舗運営をすると昨対比を超えることは至難の業です。では大型店舗はどんな努力をしなければいけないのか?とてもシンプルです。

来店時は興味関心もなかった商品に興味関心を抱かせる「売場」を作ることです。今までずっと我慢して使っていたものや不満を抱えながら仕方ないで片付けていた悩みなどを解決する商品やサービスが大型店舗には沢山あります。しかし、お客様はその不満になれてしまいニーズが表面化していません。しかし、店舗スタッフがPOPをつけたり目立つところに商品を陳列することで「何これ!こういうの探していたんだ!」とお客様の潜在ニーズを解決する商品と出会う機会を作ることが店舗には欠かせません。もう商品を陳列して売れる時代ではないのです。

業務用扇風機が爆発的に売れた背景にある商品価値の明確化

当社クライアントがどうやって700%を超える台数(売上比はもっと高いです)を販売できたのかというと、業務用扇風機カテゴリーの中に室外機のついたエアコン機能のある送風機(吹き出し口がダクトのような形状)を強化販売することに決めました。この商品は業務用扇風機(8000円前後)より高価格(50000円前後)です。この高額商品が爆発的に売れたのです。もちろんこれまでもこの商品は販売されていました。しかし、ほとんど売れなかったのです。どうやって打ったのかというと畜産農家が多いエリアということもあり業務用扇風機は売れていたのですが、毎年猛暑が続きスタッフがこんなPOPを作りました。「牛さん・豚さんは、これ以上はモー猛暑に耐えられません」というキャッチコピーに牛と豚のイラストと店内で販売しているぬいぐるみを飾って店頭で販売をしました。変えたのはこれだけです。このPOPを見た畜産農家のオーナーは「確かになぁ・・・あまりにも暑すぎるからうちでも導入するか」と即決されたそうです。これはまさに店舗に来てこその販売結果と言えるでしょう。

おそらくオンラインショッピングなら最安値で業務用扇風機を探すだけで決して室外機付きエアコンには辿り着かなかったのではないと思います。店舗で働くスタッフならではのアイデアが来店した顧客の心を動かしました。売る、はまさにこういうことです。価値ある商品なのになかなか顧客にその価値が伝わらない商品があることをスタッフは知っています。その商品やサービスをピックアップして一緒に売場を作る、POPを掲示する、週次で売上を管理して売れていなければ展示の仕方やPOPを作り直してみるといったPDCAをしていくことで確実に売れていきます。

さらに良いのがスタッフの主体性がどんどん高まることです。自分で考えて自分で陳列して自分で結果を回収するわけですから責任感も育つし売れていく楽しみを味わうことでモチベーションが高まります。これまでは言われたことをやっていた、それで高い売上が維持できていました。しかし、時代は変わり、自らの知恵をいかに売場に反映させ売上アップに貢献できるか否かが今後の店舗スタッフに求められるタスクとなります。正直オペレーションは今後ロボットやAIが担っていくと思っています。

店舗に裁量権の一部を移譲することで売上は爆発的に伸びる

店舗と本部の関係性も今後は変わっていくと予想しています。これまでは本部主導で販売促進もコントロールされていました。懇意にしているメーカーとのタイアップ企画など店舗では毎週のように販促企画が展開していますが、大型店舗を見る限りどこも反応率はイマイチです。なぜなら競合も似たような販促をしているからです。目新しさやグッと心に響く販売促進ができている大型店舗は少ないように感じます。この退屈感はどこからくるのか?

それは・・・「私のためにあるようなもの」と自分ごとにならないことが理由です。
大企業になればなるほどマスマーケットに訴えかけるので必然的にメッセージはボヤっとします。これまではそれでも画一的な商品選択が当たり前だったので機能しました。しかし今はブランド選び一つとってみても多様化していますよね。ハンドメイドマーケットも拡大の一途をたどり、ますます価値観の多様化で画一的な商品選択は消滅の傾向にあります。つまり、より多くの人に訴えかけるような販売促進は無視される可能性が高いということです。

当社クライアントでは来店される顧客をイメージして売場を作るように指示をしています。大型店舗は当然ながら大手企業になるのですが、裁量権の一部を私のコンサルティングが担っているので、比較的自由に売場を作ることができます。そのためか先に挙げたような昨対比700%超えをはじめどの施策も昨対比超えが連発しています。

いきなりすべての商品で来店する顧客に向けた販売促進で勝負しましょう!と言っているわけではなく、各カテゴリー1商品からはじめて数字の変化を売場担当者とともに追ってみるというとこから始めるので良いと思います。そこで成功体験を積んでいくことで他の商品でも同様に売場を作って展開してみるというのが良いでしょう。

御社の売場作りの参考になれば嬉しいです。

ジャパンブルーコンサルティング株式会社
代表取締役 成田直人

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